瓦葺師の手で甦る暮らしの温もり
 
 
 
メインルーファー 河口政幸
昭和20年 三重県生まれ  愛知県春日井市在住

もともとは鉄工所勤めでしたが、どうしても一生の仕事にしようという気にはなれず30歳になるのを機にこの仕事に転職しました。「やっぱりお寺の屋根は面白いねぇ。もちろんお寺だけじゃなくゴルフ場のクラブハウスだとか、最近だと特別養護老人ホームだとかの屋根もやらせてもらっているけど、なんと言ってもお寺の屋根をやるときのワクワクするような面白さにはかなわんわね…」と、休憩の合間をぬっての取材にこの道30年以上のベテラン河口(62歳)が、穏やかな口調で語る。
メインルーファー 河口政幸
「当たり前だけど、この仕事をやり始めた頃は、親方の手元として現場についていき少しでも早く仕事を覚えようと必死だったよ。親方の手が止まらないように次に何を用意すればいいのか段取りを把握して、必要な材料をそろえていくんだけど、昔の親方は今みたいに優しくないから、よく現場で怒鳴られたもんだわ…。」と当時を振り返る。

「それでもね、親方の仕事のリズムにピタッと息を合わすことの出来た現場だと、仕事の進みが速いのは勿論だけど、やっぱり葺き上がりが全く違うでね。一人で黙々とやる仕事と違って皆で力を合わせて一つの建物を創り上げていく。まあ、だからこそこの仕事は面白いし、親方としての腕の見せ所なんだわね。」

「この仕事を始めた頃には、長久手に寮があって、ちょうど同じような一人前の瓦葺き師を目指すライバルが他に3人いてよく酒を飲みながら、『あの納まりはこうだ…』とか夜遅くまで意見を戦わせたものだったね。うちの会社には、今でも瓦葺き師を目指す若いもんも多いけど、お寺の屋根をやりたいと志すような子は、やっぱり伸びるのが早いね。」

「若い子らには、色々と仕事を覚えるチャンスをあげたい。でもまだまだ箕甲(みのこう)や棟をつく仕事は若い子には任せられん…」と瓦葺きの魅力に取り付かれた河口の顔から笑みがこぼれる。
 
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